DVD+R/RWディスクはパソコンのデータ保管からビデオ録画まで幅広い用途に使える事から、気が付くと手元に記録済みディスクが数多くたまっているのではないでしょうか。ビデオカメラの映像やデジカメで撮った画像は世界に一つしかない貴重な思い出ですね。大事に何時までも残しておきたいものです。
DVD+R/RWディスクは信頼性の高い記録媒体です。しかし、紙の書類やプリントされた写真・ビデオテープなど全てそうですが、それぞれ適切な環境で保管しないと紙がボロボロに成ったり、写真が退色したり、テープにカビが生えたりして大切な思い出が台無しに成ってしまいます。幾ら信頼性の高いDVD+R/RWディスクでも不適切な保管環境では読めなくなる事が有りますので、適切な保管環境を知り、それを守る事で長期保管できます。
では、その適切な保管環境とは何でしょう。
DVD+R/RWディスクは、
で保管しましょう。
「でも、何故?」と言う質問が聞こえてきそうですね。それに応える為にはDVD+R/RWディスクに付いても少々知る必要が有りますので、後程説明しましょう。
まずは、DVD+R/RWディスクは「光ディスク」の仲間だということを思い出して下さい。データの読み書きには特殊な光線で有る「赤色レーザー光」を使用します。
追記形であるDVD+Rディスクでは記録面が色素で作られており、強いレーザー光線のエネルギーで色素の一部を変化させて情報を書き込みます。
書換形であるDVD+RWディスクでは相変化材料という特殊な金属膜を記録面に使い、これも強いレーザー光線のエネルギーで金属膜の一部をアモルファス(非晶質)状態に変化させて情報を書き込みます。
この様に、特殊な光線とはいえレーザー光も光の仲間なので、ディスクの記録面を構成する「色素材料」や「相変化材料」は自然界の光の影響も若干受けます。自然界で最も強力な太陽光を長期間受け続けるとその影響は無視できなく成ります。何せ、最高級塗料を使用する乗用車のボディーでさえ長年青空駐車していると塗装が劣化するくらい太陽光は強烈です。
その為に、まずは「暗く」と言う条件が付きます。窓からの直射日光が当る日当たりのいい部屋の棚での保管は要注意かも知れません。
湿気は、DVD+R/RWに限らず、あらゆる物にとって良い事はありません。カビや錆びの原因です。
DVD+R/RWの場合、主要材料で有るポリカーボネート樹脂に若干の吸湿性が有りますので、長期間高湿状態に曝されると反射層に使われている銀もしくは銀合金膜、DVD+RWディスクの相変化材料が腐食する懸念が有ります。その為に「湿度の低い」環境が必要です。
暗い所と言う事で北側の押入れ等ではビショビショに濡れるくらい結露する事があるので、要注意です。
温度は適度に涼しい所が良いでしょう。高温はあらゆる化学変化を加速しますので、良い事はありません。銀塩写真のネガを冷蔵庫で保管している人が時々居ますが、そこまでする必要は無いでしょう。ただし、温度変化は少ない方が好ましいと言えます。ですから、屋外の物置など夏場は日に照らされて高温と成り、冬場は外気温まで下がる為、好ましいとは言えません。
保管時には発生しませんが、取扱い時に注意しなくては成らないのが読み取り面の傷です。有る程度の傷までは魔法の機能“誤り訂正”が正しいデータに訂正しますが、訂正不能になる程の傷が付くとディスクは読めなく成ってしまいます。気を付けましょう。
それでは、次の章からはこれらに関して技術的な立場から説明していきます。

はじめにユーザーが最も多く使用しているDVD+Rディスクの構造について解説します。下の図1をご覧下さい。DVD+Rディスクは案内溝が形成されたポリカーボネート基板の上にスピンコート法により、記録膜となる色素層が塗布されます。その後、反射膜となる銀(もしくは銀合金)が真空成膜機によって形成されます。そして色素及び銀反射膜の付いたポリカーボネート基板を同じ0.6mm厚さのポリカーボネート基板と接着剤を用いて貼り合わせます。これで基本的にはDVD+Rディスクの出来上がりです。
次にDVD+RWディスクの構造について解説します。図2をご覧下さい。
DVD+Rディスクの場合と同様に案内溝が形成されたポリカーボネート基板の上に真空成膜機を用いて、誘電体膜、記録層となる相変化記録膜、誘電体膜、最後に銀反射膜を順番に成膜していきます。後は接着剤を用いてDVD+Rディスクと同じようにポリカーボネート基板と貼り合わせれば出来上がります。

DVD+Rディスクの記録原理は、ドライブに搭載されているレーザーの光に強弱をつけて発光することにより記録を行います。記録膜に用いる色素膜は、強い光があたるとその光エネルギーを吸収して分解されます。その結果、その部分の部分は反射率が低くなり、記録ピットとして認識されます(図3)。
DVD+RWディスクの場合は、DVD+Rと異なります。まずディスクは、工場から出荷する前に全面が中位の強さのレーザー光で初期化されます。初期化することで相変化記録膜は全面結晶状態となります。結晶状態とは、ピットでない状態をいいます。次に、ユーザーが記録を行うと、レーザー光線が強く当たった部分は相変化記録膜の温度が600℃以上の温度となり、その膜は一度溶融し、急激に冷やされることで図4のような非晶質(アモルファス)状態となります。この部分の反射率は低くなり、ピットとして認識されます。

ユーザーにとって記録したデータが、永遠に保存できれば、それに越したことはないのですが、残念ながら人間に寿命があるのと同様、DVDのディスクにも寿命は存在します。では、どのような要因でディスクは劣化するのでしょう。劣化要因としては、そのメカニズムから下記の3つの種類に分けられます。
(a) 記録膜そのものの外的要因による劣化
(b) 銀反射膜の腐食
(c) ディスクについた傷や汚れ、ディスクの変形 |
(a) 記録膜そのものの外的要因による劣化
DVD+Rディスクの記録膜に使われている色素は、太陽光や蛍光灯などの光に長期間さらされると色素の分子が徐々に分解して色が消えていきます。色が消えることは、記録したデータが消えることを意味します。特に紫外線の影響が大きく、真っ青なジーンズを太陽光にさらして置くと徐々に色あせて行くのと同じメカニズムです。もちろん、その劣化を防ぐ手段として色素の中に紫外線をトラップするような材料を混ぜたりしてその影響をできる限り少なくする努力はされていますが、それにも限界があります。また、どのような紫外線トラップ材をどの程度混ぜるか、あるいは色素そのものにその機能を持たせるかなどのノウハウもメーカーによって異なり、耐光性性能の違いとなって現れます。
DVD+RWディスクは、記録膜に相変化材料という特殊な金属膜を使用していますが、この記録膜は図2に示したように誘電体膜でサンドイッチされているため、酸素や水分からの酸化から守られています。ただし、記録ピット部分の非晶質状態では、より安定な結晶状態に戻ろうとする性質があります。通常この結晶化には非常に長い時間がかかるのですが、温度が高いほど短い時間で結晶化される傾向があります。
(b) 銀反射膜の腐食
ほとんどのDVD+Rディスク、DVD+RWディスクは、反射膜に銀もしくは銀合金を使用しています。これら銀反射膜は図1、図2(2.記録形光ディスクの構造参照)に示すように接着剤でポリカーボネート基板に接しています。通常は、この接着剤に銀の保護機能を持たせていますが、接着剤の選定が不適切であるとその界面で化学反応を起こし、銀が腐食する可能性があります。

さらに、紫外線にさらされる事でこの化学反応は促進し、銀が反応触媒になる事さえあります(図5)。その為、この接着剤の選定も開発段階では非常に重要で様々な接着剤を試して加速試験を行い、腐食の起きないものを選んでいます。
また、DVD+Rディスクの場合、基板として使用しているポリカーボネート材料は、わずかですが水分を吸収します。その上の色素も水分を透しますので、それにより銀が腐食する可能性があります。それを防止するために腐食しにくい銀合金を採用しているメーカーもあります。
では、銀反射膜が腐食するとどのような影響が出るのでしょう。銀が腐食すると反射率が下がりレーザー光でディスクを読み取る際、光が正常に戻ってこなくなってしまいます。その結果、その部分は欠陥となります。わずかな欠陥であればエラー訂正機能が働き、さほど問題にはならないのですが、腐食が広がるとエラーだらけとなり、もはや正しい信号を読み取る事は不可能となってしまいます。
(c) ディスクについた傷や汚れ、ディスクの変形
ふたたび図1及び図2をご覧ください。ここに示す構造から分かるように記録膜は0.6mmのポリカーボネート基板でサンドイッチされており、これら記録膜が直接機械的なダメージを受けることは稀です。では、そのポリカーボネート基板表面に傷や汚れが付くとどうなると思いますか。小さな傷、薄い汚れや薄い傷などではほとんどの場合、問題なくディスクを使用することが出来ます。但し、非常に深い傷が付くとレーザー光が正常に案内溝をトレース出来なくなる場合があります。また、傷の付く方向ですが、ディスクの円周方向と同じ傷は径方向の傷に比べ、影響が大きくなります。何故ならディスクは回転しているので、径方向の傷の場合レーザー光は一瞬しか傷の上を横切りませんが、周方向の傷はより長い時間傷の上を走査するからです。汚れに関しては光を遮るようなものは、少なからず読み書きの際、影響を及ぼし、当然のことながら、汚れが大きいほど、悪影響を与えます。その為、ディスクに汚れが付着していたら、市販のクリーニングキットなどを使用してきれいにすることをお奨めします。クリーニングする時に、傷がつく場合もありますので、必ず径方向にクリーニングして下さい。
また、ディスクをケースに入れずに机の上などに放置しておくと机の上のゴミや砂などで擦れ、傷が付き易いので気をつけて下さい。
また、直射日光が当たる窓際や車のダッシュボード等にディスクを置くとディスクが高温なり、変形してしまう場合もあります。変形したディスクをドライブに入れて読み書きしようとすると高速で回転するため、異常な振動が起きたり、最悪の場合は、ディスクが破損する場合がありますのでご注意下さい。破損しない場合でも、変形の為、案内溝を正常にトレース出来なくなる可能性が高くなります。 |